香芝市の内科、リウマチ科、循環器科、消化器科、耳鼻咽喉科、整形外科 リハビリテーション科、麻酔科(ペインクリニック)、小児科
担当医師のご紹介
白川淳二 医師(非常勤)
・麻酔指導医
・日本薬理学会評議員
・ペインクリニック認定医
・白川麻酔科クリニック院長
ひとこと
僕がペインクリニックを始めた頃に比べ、ブロックに使用できる器具も、薬もかなり進歩してきており、救われる患者さんも多くなってきたことは間違いないのですが、未だ除痛できない患者さんも多いことも事実です。
日進月歩の医療情報を取り入れ、良いと思われる治療はどんどん取り入れていくよう努力しますので、患者さんもあきらめずに頑張りましょう。
ペインクリニックとは?
ペインクリニックとは、文字通り、ペイン(痛み)のクリニック(診療所)という意味です。「痛み」というのは、なかなか他人に理解されない症状であり、人知れず苦しむことも多いでしょう。また「痛み」そのものが不安や恐怖、睡眠障害や意欲の低下、食欲の減退などを伴うやっかいな症状なのです。「痛み」があることで、元の病気そのものが悪化することもあるのです。したがって、「痛み」はがまんすべきものではなく、他の症状より優先して取り除くべき症状なのです。こういった「痛み」を専門に扱い、診断・治療する診療科がペインクリニックです。「痛み」に対しては、痛み止めや湿布だけではなく、主に神経ブロックという手段を使って治療します。
なぜペインクリニック医は麻酔科医なの?
現在の麻酔は随分と発展し、手術中の安全だけでなく術後の痛みも最小限にする様に、以前には行ってなかった様々な鎮痛法も行っています。昔、腹部の手術をされ大変痛い経験をお持ちの方が、最近再び手術をされ、”嘘のように楽に手術後を過ごせた”との感想をいただくことがあります。手術時の痛みを最小限にするための麻酔科医の知識や技術を利用した治療としてペインクリニックは進歩してきました。その1つの大きな方法として神経ブロックがあります。痛みをとる知識と技術をいろいろな病気に対して利用するのがペインクリニックです。よってペインクリニックの多くを麻酔科医が行っているのです。
「痛み」の種類
痛みは三つの種類に分けられます。
一つ目は指を切ったときなどに感じる「侵害受容性疼痛」です。切り傷、打撲、やけど、腹痛など私たちが日常生活でよく経験する痛みの主な原因です。これは身体に異常が発生したことを知らせる警告信号としての意味があります。
治療は、できるだけ原因の除去を行うことが大切で、日常使用される痛み止めの薬が良く効きます。しかし、急性期の帯状疱疹のように、原因の除去が速やかに行えず激痛が続く場合、早期に痛みの悪循環を遮断する神経ブロックを行い、神経の変性をできるだけ食い止め、痛みを記憶させないことが大切です。
二つ目は帯状疱疹などで神経が傷つけられたことによる「神経因性疼痛(ニューロパシックペイン)」です。治療は、一般的な痛み止めの薬が無効なことが多く、抗うつ薬や抗けいれん薬などの特殊な薬が使われます。神経ブロックにより、痛みがあまり気にならない程度まで軽減する場合もあります。
三つ目は、ストレスなど精神的なダメージにより起こる「心因性疼痛」です。慢性的な痛みは、一つだけではなく、重なって起こることもあります。その場合は治療も難しくなります。痛みはその経過が長いほど、精神的要素が深く関与してきます。疲労やストレスでさらに症状が悪化します。特に神経因性疼痛は慢性の痛みであり、この心因性疼痛と密接に関係します。治療は薬物や精神療法が必要とされます。
痛みの悪循環
痛みは我慢すると、さらに新しい痛みを呼び込んでしまいます。これを「痛みの悪循環」と呼びます。一度、陥った悪循環は、さまざまな治療を施さないと断ち切れません。また、栄養バランスの取れた食事や適度な運動や体操、必要十分は睡眠など、規則正しい生活習慣を心がけましょう。さらに、痛みは精神的な問題が原因で発生することもあります。そのため、明るく元気な気持ちで過ごすことも大切です。
そして、痛くなったときはできるだけ我慢せず、痛みの専門家に早く相談することをお薦めします。
神経ブロック
神経ブロックは文字通り”神経を遮断する”治療法です。痛みを起こしている神経を探し、神経に直接、またはその付近に特殊な針を用いた注射器で局所麻酔薬を注射します。
そうすることで痛みの信号が脳に伝わるのを遮断(ブロック)します。直接、または近くに注射するため麻酔薬の量も少量で済み、副作用の心配も少ないのです。、麻酔薬の効き目は痛みをやわらげるとともに、緊張している筋肉を緩めます。同時に交感神経も遮断されるので血管が拡張します。そうすると血流の流れが良くなり、炎症も抑えられます。これを繰り返し行うことで痛みがなくなったり、痛み以外の病気にも効果があります。
神経ブロックの効果
神経ブロックの一番の効果は、痛みの元を断つことです。痛みの刺激を伝える神経そのものを遮断してしまうので、刺激が脳に伝わらず、痛みを全く感じないようになります。
二番目の効果は、痛みの悪循環を断ち切ることです。神経ブロックで注射された局所麻酔薬などは、痛みの刺激で興奮していた神経をしずめてくれます。結果、痛みのために悪くなっていた血行が改善され、痛みを起こす物質が洗い流されて、痛みの悪循環が起こらなくなるのです。局所麻酔薬は2~3時間で効き目が切れてしまいますが、その後も痛みが起こらないのは、そのためです。
さらに神経ブロックによって血行が改善されることで、抗ウィルス薬や抗炎症薬が患部に届きやすくなる効果もあります。血行がよくなれば、ウィルスにやられてしまった組織にたまっている有害物質を運び去ることもでき、治りを早めることにもつながります。
神経ブロックを受けられない人はいますか?
神経ブロックは、小学生ぐらいから、90歳以上の高齢者まで施行しています。年だから痛いのは当たり前だとあきらめる前に、一度ペインクリニックを受診してみたらいかがでしょうか。
ただし、37℃以上の発熱時や局所麻酔薬にアレルギーがある人は神経ブロックを避けた方がいいでしょう。抗凝固薬を服用している人はブロックの種類により避けた方がよいものもあります。
ペインクリニックでは以下のような疾患を取り扱っています。
- 三叉神経痛、舌咽神経痛、非提携顔面痛、その他の顔面痛
- 頭痛
- むちうち、五十肩、変形性頚椎症、頚肩腕症候群、肩こり、その他の首、肩、腕の痛み、しびれ
- 椎間板ヘルニア、脊椎管狭窄症、いわゆる腰痛症など腰や足の痛み、しびれ
- 手や足の血行障害(レイノー症候群、しもやけ)
- 手術や外傷後(カウザルギー、幻肢痛)の痛み
- 帯状疱疹(痛みを伴った水疱)
- 顔面神経麻痺(顔がゆがむ、顔に力が入らない)
- 顔面けいれん(まぶたや口がピクピクする)
- メニエール病、突発性難聴
- 悪性腫瘍による痛み
- アレルギー性鼻炎
痛みは危険から命を守る
痛みは大切なシグナルです。痛みはつらく苦しいものです。しかし、痛みとは、さまざまな危険から生命を守るためのシグナルであることを知って下さい。そして、痛みの原因を知って正しく、対処することによって、健康に生活できるのです。
「痛み」でお悩みの方は、ぜひペインクリニックをお尋ね下さい。